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AIが方言を翻訳して医療サポートする未来も

AIが方言を翻訳して医療サポートする未来も

「AI」を導入して方言を標準語に変換する研究がすすめられています。ここでは訛りが強くて理解しにくい津軽弁を自動翻訳し、方言が分からない医療従事者でも患者さんとコミュニケーションが取れるようにする弘前大学の取り組みと、札幌や仙台、名古屋や広島、熊本などの7都市の方言を文章にするNTTの取り組みを紹介します。

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弘前大学の取り組み

単語が短くて発音が標準語と異なる津軽弁はその土地に住んでいる住民以外、同じ青森県民でもうまく聞き取ることができません。弘前大学病院には県外出身の医師や看護師も多く、患者さんの言葉が理解できないケースも多いそうです。そこで弘前大学では日本で最も難しい方言といわれている津軽弁を人工知能(AI)が標準語に自動翻訳する研究に力を入れています。こ今まで難しかった患者さんと県外出身の医療従事者の意思疎通に大きな影響があるとして注目されている研究ですが、具体的な内容は東北電力のコールセンターで通話を録音した6700軒の音声をAIで自動的に文章化して標準語で要約するシステムの開発、です。
また、コールセンターだけでなく特にクセが強い津軽弁を使っている地域の鰺ヶ沢町の住民にも協力してもらって解読制度の向上や単語と文章のデータベース化もすすめています。

NTTの取り組み

NTTで開発しているのはAIを活用して方言を文章にする音声認識技術です。これまでのAIでは方言が聞き取りにくく違う意味のテキストに変換されていました。たとえば、札幌の方言である「したっけ」という方言。「したっけ○○に行くべ」という言葉をAIが変換すると「下請け○○へ行くべ」と「したっけ」を「下請け」に誤変換していました。同じように広島の方言「見たこともなぁ量だった」を変換すると「見たことマナー量だった」、仙台の方言「道を教えてけねが」を変換すると「道を教えて怪我」と意味すら通じない言葉になり、方言が標準語に変換されているとはいえない状態だったため、NTTではAIに例文を学習させたり、札幌をはじめ、仙台や名古屋、大阪や広島、博多、熊本の7都市の方言をAIに覚えこませて難解な表現も理解できるようにしたりなどの研究をすすめて実用化を目指しています。
また、NTTではこの開発は医療現場だけでなく介護ロボットや自動運転の公共交通機関などにもその技術が応用できると考えています。
音声認識技術は世界のIT企業による競争が激しくなっていますが、NTTには約40年という長い研究開発で蓄積したノウハウがあり、なおかつ、騒音の中でも音声が認識できるかという国際技術評価でもトップを獲得する技術も持っているため他の企業よりも抜きんでています。

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