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東日本大震災で浮き彫りになった方言問題

東日本大震災で浮き彫りになった方言問題

患者さんにとって一番つらいことは自分の状態が医師や看護師などの医療従事者にきちんと伝わっていないことです。お互いにコミュニケーションを取りながらどんな状態なのかを探っていきますが、方言がネックになって言葉が通じずなかなか理解してもらえない、といった問題が起こっています。

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医療現場で方言はあり!

患者さんの状態を把握するためには日頃からコミュニケーションを取っておくことが大切です。会話の中に方言を織りまぜると「言葉の温かみがある」「患者さんが心を開いてくれる」など方言が潤滑油となってコミュニケーションが取りやすくなるので、医療現場では方言もあり!という意見も多数あります。基本的に医療現場では標準語が薦められていますが、方言を無理に排除する必要はない、というのが現状です。ですが、方言によって重大な誤解を招くこともあるので注意しましょう。

東日本大震災で明らかになった方言問題

未曽有の被害をもたらした東日本大震災では日本各地から医療従事者が支援に訪れていましたが、患者さんの言葉が理解できなくて医療活動が滞っていたそうです。「日本人同士なんだから言葉が通じないはずがない」と思われていましたが、震災をきっかけに方言による意思の疎通不足が起こることが明らかになったのです。このときは宮城県で働いていた職員が通訳として活躍していたり、関西からきている支援チームに秋田県から派遣されてきた職員が患者さんとの間を取り持ったり、と円滑に支援活動がすすむように協力していたそうです。
しかし、これは震災に限ったことだけではありません。「言葉が通じない問題」は平時でも起こっています。地方に行くほど医者不足や看護師不足が深刻になっているため、関東から東北地方に医師や看護師が派遣されて来るのもそう珍しいことではありません。ですが、その土地になじみがない人は方言も聞き慣れていないためなかなか理解することができず、その結果、「通じない」「患者さんの症状を誤認する」などの問題も引き起こしています。

外国人ならさらにハードルが高め

弘前大学の調査で県外から来た人だけでなくその土地に住んでいる人でもすべての方言を理解している医療従事者は全体の40%にも満たないことが分かりました。これにはお年寄りと若い世代では使用している方言が違うなど世代間での差も大きく関係しています。また、近年は外国人労働者も積極的に受け入れていますが、日本語の取得だけでなく方言も取得しなければならないため、日本人よりもハードルがあがっています。

方言を勉強したい方におすすめ

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    診察の際にまずは患者さんへの問診を行いますが、方言がネックになって正確に理解できない、誤認される、といった問題も起こっています。この問題は平時でも起きていましたが、全国各都市から支援チームが集まった東日本大震災で顕著になりました。

  • 医療従事者は方言の勉強も必要?
    医療従事者は方言の勉強も必要?

    方言には独特のアクセントや発音があるため、その地域以外の人が正確に理解することはなかなかできません。そのため、地方の医療現場では患者さんのいいたいことがきちんと理解できるように、医療技術や知識だけでなく方言の取得も必要不可欠とされています。